死神メルの大事件

「ったくよぉ、俺の南国リゾート系のさわやかな体臭がゴミ溜めみたいな部屋のせいですっかり汚染されちまったじゃねぇか」
 うーん、今まで私の隣りにいたマサオさんですがさわやかな臭いというより香ばしい鶏肉の臭い――
「あ……」
「あん?どうしたよ、なんか見つけたのか」
 ぴょこぴょこと軽快に飛びながら近付いてくるマサオさんの姿はとても愛らしいですが、今はそんな事に構ってられない状況です

「生島穣さんの魂の他にもう一つの魂が見えます」
「その魂はあのヒステリックなババァのもんじゃねぇのか?」
「……違います。本来人間の魂は限りなく無色透明に近い水色なんですが、もう一つの魂の色は……赤なんです」
「赤ぁ?なんだよ、恥ずかしがり屋な魂なのかそいつは」
「いいえ……魂自体が赤く染まっているものは――」
 これはいくらなんでも荷が重すぎますよ閻魔様……
「――憎悪です」
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