死神メルの大事件

 へっ、間抜けだぜ。まさかこの俺がこんな所で死ぬ事になるなんてな……
 へ、見てみろよ、俺が死ぬのを今か今かと期待している烏がどんどん集まってきやがる。
 まぁ、烏界の掟みてぇなもんよ。同類だろうがなんだろうが関係ねぇ……死んじまったら、奴等の餌になって跡形もなく無くなるだけよ。
 分かっちゃいるけど、くだらねぇ一生だったなぁ……

「あ……ママぁ!ねぇママぁ!」
 ……ちっ、うるせぇクソガキが叫んでやがる。死ぬ時ぐらいそっとしとけっての。これだから人間ってやつは――
「どうしたの?聡ちゃん」
「烏さんが、烏さんが痛い痛いって言ってるよ!」
 うっせぇよカス、誰が痛ぇなんて言ったよ。
「あら、本当ね。車に轢かれたのかしら……」
「ママぁ……烏さんが可哀想だよ、助けてあげようよ!」
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