死神メルの大事件
「馬鹿っ!」
「あっ!」
頬を引っ張たいた振動が全身に伝わってくる――聡坊の奴は瞼を大きく見開きながらババァを見つめ、次の瞬間火が点いたように大声で泣き始めた
「烏なんか飼ってたらご近所さんに変に思われるの!聡だってまたイジメらるのよ!」
「ヤダッ!」
「じゃあ今すぐ捨ててきなさい」
「やだぁぁぁ!」
「なんでママの言う事が聞けないの!」
「いやぁっ!マサオは、マサオは僕の友達だもん!」
……友達?
「聡を危ない目に合わせるかもしれないのよ!」
「マサオはそんな事しないもん!」
烏の群れからずっと離れて生きてきた俺を……こいつは友達って思ってるのか?
「いい加減にしなさいっ!」
再びババァの手が宙を舞う――聡坊は身を細めて身構えている。
……馬鹿だぜ、俺なんか放っておけば良いのによ。いい気味だ――