死神メルの大事件
二ノ二:冷たくて暖かい声
「いくらなんでも聡の前であんな事をするんじゃなかったな」
「でも、つい……」
「あの子はマサオを大事にしてきたんだ、それはお前が一番分かってた事だろう」
痛ぇ……あのヒス女、やってくれんじゃねぇか。クソ、俺がこんな体じゃなかったらあんな不様に負ける事はなかったのによ……
のんきに夕飯食ってるあいつらを見てると腹がたってくるぜ。俺の怪我は酒の摘みかよ。
「聡はどうしてる」
「あれからずっと部屋に閉じ籠ったままで……」
「仕方ないな……」
聡の親父が椅子を押し出すようにして腰を上げ、こちらに向かってくる。
肝心の聡坊は……と言うと――