死神メルの大事件

 イジメの原因を聡坊が語るまで四日の時間が必要だった。

『聡は烏を飼ってる』

 それだけの事で物珍しがられ、不気味がられ、やがてはイジメに発展したらしかった。
 いつからイジメがあったのかは分からない。だが、あんな小っせぇ体でイジメに耐えていたばかりか、俺に笑顔ばかり見せていた聡坊――

「あなた、やっぱり……」
「あぁ。聡、マサオの事だけどな――」
「嫌だっ!僕、ちゃんと面倒見てるもん!約束したじゃないか!」
「しかしな、その事で辛い思いをするのは聡なんだぞ?」
「マサオは友達だもん!パパは友達を捨てろって言うの?」

 ……聡坊。
 お前、馬鹿だぜ。たかだかこんな烏によ
 こんなひねくれた烏よりもっと従順で、友達が増えるようなペットを飼えば良いのによ……

 ――馬鹿だぜ。
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