死神メルの大事件
第三章:赤の魂は不思議です
「……とまぁ、そんな感じだったんだ」
聡坊さんの頬をそっとなぞり、筋となった涙を拭くマサオさん。
私が考えていた以上に二人は深い絆で結ばれていたようです。
「よう、いつまでも聡坊を道のど真ん中に置く理由もねぇだろ。せめてさっきいた公園に――」
「あ、それは駄目なんです」
「あ……?」
だ、駄目ですよ、そんな私を食べるようなすごい目付きで睨まれても。
「えと、死神が遺体を動かすと魂まで触る事になりまして、下手に触ってしまいますと体から魂が出なくなってしまうんです」
「そうなるとどうなるんだ?」
「……やばいんです」
「やばいのか」
「はい」
「お前、実は分からねぇんだろ」
うぅ……さっきまでおとなしかったマサオさんが段々意地悪な烏さんへと変わっていってます。
元気になるのは嬉しいですけど、ちょっと複雑です。