真実さんと正義くん(おまけ話更新中)
番外編・真実さんの試練
正義にプロポーズされて数週間が経った。
あの日、デートで買ってくれた婚約指輪は普段使い出来るようにとシンプルなデザインを選んでくれたんだけど、実はあの日以来はめてない。
いや、気に入らないとかじゃなくてですね。
―――今さら恥ずかしいじゃん?
変なところで真面目な正義は両家の顔合わせするって言い出すし。
必要なくない?どっちの家族も知らない事なんてないじゃん!
お母さんなんて顔合わせの話した瞬間、酒瓶片手に正義の家に突撃して行ったし!!
普段から指輪なんてしてたら、あたしのメンタル持たない…。
なら、職場ではつけようって思ったけど例の先輩がなぁ~って思うと、自分の指よりもリングケースに居ることが多くなった。
取り敢えず、顔合わせの食事会が終わってホッとしたのも束の間、更なる問題が。
「え、結納やるの?」
「は?当たり前じゃん。だから、真理姉と真誠にも言っとけよ」
「お姉ちゃん達も参加なの!?」
「うちだって顔合わせから道義来てるだろ」
面倒くさいって顔に出てたらしく、正義に思いっきり頭を揺らされた。
「日程は後で連絡するから、そしたら参加するしないに関わらず“必ず”お前から連絡しろよな」
「えー何であたし?お母さんからじゃダメなの?」
「“真 実” が 連 絡 し ろ !」
「わ、わかった」
それから数日後、結納の日程が両家に知らされた。
顔合わせをしてから、お母さんとおばさんのテンションがやばい。
あたし達ですら式の話なんてしてないのに、ドレスはこれがいいとか国内か海外かで盛り上がってる。
仕事帰りに道義に会うと、憐みの視線を送られてるような気がするのは気のせいではないはずだ。
『今夜、結果報告な。電話するから』
「はぁ~~~」
お昼に来たメールを見てから気が重い。
こんなに正義からの電話が憂鬱って初めてかも。
スマホを前に体育座りしている自分もなんか嫌だし。
「寝るってメールしちゃおうかな…」
スマホをタップしてメッセージアプリを開くが、文字を打つまでの勇気が出ない。
うーんと唸っていると、スマホが震えた。
相手はもちろん正義だ。
「もしもーし」
『お疲れさん』
「お疲れーって声死んでない?え、今帰ってきたの?」
正義の声の後ろからドアが閉まる音が聞こえ、思わず時計を確認した。
時間はもうすぐ日付が変わろうとしている。
『今日飲み会だったから飲み過ぎた』
「ザルのアンタが飲み過ぎたってどんだけ飲んだのよ…」
『で、報告は?』
「仕事で無理だって。せめて半年前に連絡してって言われた」
『じゃーそっちの人数は三人で予約するわ』
「う、うん。お願い」
『…おい』
「あ!やだ~もうこんな時間じゃん!寝不足はお肌の敵だからもう寝るね!!」
電話の向こうから不穏な空気を感じ、さっさと通話を切ろうとしたのだが、それよりも正義の地を這うような声に指が動かない。
『今切ったら分かってんだろうな』
「お、お姉ちゃんには言ったもん!!」
『真誠』
「ぐっ…」
『俺は真誠にも言えって言ったよな?結納まであと二週間って分かってんのか?』
「だ、だってお姉ちゃんが電話で言ったらお兄ちゃん死ぬかもしれないって言うから!一応、明日お姉ちゃんとお兄ちゃんに会いに行くし」
『はぁ〜あのバカ兄貴いつまで妹離れできねーんだよ』
「大体、アンタの結果報告が早いのよ。ねぇ、付き合ってんのは知ってるんだし、結納しましたよって事後報告でも良くない?」
『良いわけねーだろ!お前と付き合いだした時だってアイツは邪魔してきたんだぞ。事後報告なんてしたら暴れんだろ』
「えー?そうかな??」
最近会ってない兄を思い浮かべ首傾げた。
年が離れてた事もあり、多少過保護ではあったが暴れたりしたことはなかったはずだ。
『で、明日何時から会うって?』
「なんで?え、まさか…来るの?」
『こっちで会うんだろ?俺もいた方が良いと思うけど』
「でも、明日も仕事じゃなかった?」
『夜だろ会うの。俺、明日は昼で上がれるから』
「だったら、ゆっくり休めばいいのに」
正義に来てもらえれば助かる。
しかし、顔合わせやら結納やらの日程確保のために休日返上で仕事を詰め込んでるのを知ってる身としては休める時に休んでほしいというのもある。
『真実は俺と会いたくないの?俺は会いたいし抱きたいんだけど』
「なっ!!!」
『取り敢えず、真実がこっちに着く時間あとでメールして。迎えに行くから。あ、指輪して来いよ。じゃ、おやすみ』
まさかの発言に言葉が出せないうちに、さっさと電話を切ってしまった正義に叫んだ。
既に切れているが、叫ばずにはいられない。
「バ、バッカじゃないの!?」
あの日、デートで買ってくれた婚約指輪は普段使い出来るようにとシンプルなデザインを選んでくれたんだけど、実はあの日以来はめてない。
いや、気に入らないとかじゃなくてですね。
―――今さら恥ずかしいじゃん?
変なところで真面目な正義は両家の顔合わせするって言い出すし。
必要なくない?どっちの家族も知らない事なんてないじゃん!
お母さんなんて顔合わせの話した瞬間、酒瓶片手に正義の家に突撃して行ったし!!
普段から指輪なんてしてたら、あたしのメンタル持たない…。
なら、職場ではつけようって思ったけど例の先輩がなぁ~って思うと、自分の指よりもリングケースに居ることが多くなった。
取り敢えず、顔合わせの食事会が終わってホッとしたのも束の間、更なる問題が。
「え、結納やるの?」
「は?当たり前じゃん。だから、真理姉と真誠にも言っとけよ」
「お姉ちゃん達も参加なの!?」
「うちだって顔合わせから道義来てるだろ」
面倒くさいって顔に出てたらしく、正義に思いっきり頭を揺らされた。
「日程は後で連絡するから、そしたら参加するしないに関わらず“必ず”お前から連絡しろよな」
「えー何であたし?お母さんからじゃダメなの?」
「“真 実” が 連 絡 し ろ !」
「わ、わかった」
それから数日後、結納の日程が両家に知らされた。
顔合わせをしてから、お母さんとおばさんのテンションがやばい。
あたし達ですら式の話なんてしてないのに、ドレスはこれがいいとか国内か海外かで盛り上がってる。
仕事帰りに道義に会うと、憐みの視線を送られてるような気がするのは気のせいではないはずだ。
『今夜、結果報告な。電話するから』
「はぁ~~~」
お昼に来たメールを見てから気が重い。
こんなに正義からの電話が憂鬱って初めてかも。
スマホを前に体育座りしている自分もなんか嫌だし。
「寝るってメールしちゃおうかな…」
スマホをタップしてメッセージアプリを開くが、文字を打つまでの勇気が出ない。
うーんと唸っていると、スマホが震えた。
相手はもちろん正義だ。
「もしもーし」
『お疲れさん』
「お疲れーって声死んでない?え、今帰ってきたの?」
正義の声の後ろからドアが閉まる音が聞こえ、思わず時計を確認した。
時間はもうすぐ日付が変わろうとしている。
『今日飲み会だったから飲み過ぎた』
「ザルのアンタが飲み過ぎたってどんだけ飲んだのよ…」
『で、報告は?』
「仕事で無理だって。せめて半年前に連絡してって言われた」
『じゃーそっちの人数は三人で予約するわ』
「う、うん。お願い」
『…おい』
「あ!やだ~もうこんな時間じゃん!寝不足はお肌の敵だからもう寝るね!!」
電話の向こうから不穏な空気を感じ、さっさと通話を切ろうとしたのだが、それよりも正義の地を這うような声に指が動かない。
『今切ったら分かってんだろうな』
「お、お姉ちゃんには言ったもん!!」
『真誠』
「ぐっ…」
『俺は真誠にも言えって言ったよな?結納まであと二週間って分かってんのか?』
「だ、だってお姉ちゃんが電話で言ったらお兄ちゃん死ぬかもしれないって言うから!一応、明日お姉ちゃんとお兄ちゃんに会いに行くし」
『はぁ〜あのバカ兄貴いつまで妹離れできねーんだよ』
「大体、アンタの結果報告が早いのよ。ねぇ、付き合ってんのは知ってるんだし、結納しましたよって事後報告でも良くない?」
『良いわけねーだろ!お前と付き合いだした時だってアイツは邪魔してきたんだぞ。事後報告なんてしたら暴れんだろ』
「えー?そうかな??」
最近会ってない兄を思い浮かべ首傾げた。
年が離れてた事もあり、多少過保護ではあったが暴れたりしたことはなかったはずだ。
『で、明日何時から会うって?』
「なんで?え、まさか…来るの?」
『こっちで会うんだろ?俺もいた方が良いと思うけど』
「でも、明日も仕事じゃなかった?」
『夜だろ会うの。俺、明日は昼で上がれるから』
「だったら、ゆっくり休めばいいのに」
正義に来てもらえれば助かる。
しかし、顔合わせやら結納やらの日程確保のために休日返上で仕事を詰め込んでるのを知ってる身としては休める時に休んでほしいというのもある。
『真実は俺と会いたくないの?俺は会いたいし抱きたいんだけど』
「なっ!!!」
『取り敢えず、真実がこっちに着く時間あとでメールして。迎えに行くから。あ、指輪して来いよ。じゃ、おやすみ』
まさかの発言に言葉が出せないうちに、さっさと電話を切ってしまった正義に叫んだ。
既に切れているが、叫ばずにはいられない。
「バ、バッカじゃないの!?」