地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密
「諸事情がございまして、未来に来てもらいたいのです。お願い致します」
そう言って彼は頭を下げた。
だからって私は何も感じない。
簡単に頭を下げる男がいるんだな、と思いながら、素通りをした。
「あっ…」
後ろでそう聞こえたが、あんな変人知るもんか、と私は鳥居をくぐり出ようとする。
すると、またさっきの強い光が私を包み込んだ。
同時に誰かに目を塞がれ、手を握られる。
ゴオオオと音を立てる風が、さっきと反対に私を引き寄せ、吸い込んだ。
一瞬だったと思う。
五秒ほどだったかな。
やっと風が落ち着いた。
塞がれていた手が優しく離される。