地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密
「残された人々は悲しみにくれました。

平均寿命も伸び、地球上に増え続けていた人口は半分以下となり、様々な国籍の人々がひとつの星にたどり着いたのです。

それでも、いつまでも悲しみにくれている暇などありませんでした。

まだ完全とは言えなかったこの人工地球を、人類を守るために作られた星という意味をこめて〝プロテクト〟と名付け、より良い暮らしのために再スタートしたのです」

「ふうん。良かったじゃない」

「はい。そこで人々は、まず初めに、以前地球にあったタイムトラベルの扉をつくり始めました」

「え?タイムトラベルの扉は地球が存在した時からあったの?」

おかしなところはとことん食いついた。
マオが嘘をついている可能性なんて充分にありえるから。

「そうですよ?恐らく梨衣子さんの時代から研究は密かに始まっています」

「は!?なにそれ、聞いたことないんだけど」

「秘密裏にですからね。梨衣子さんと同じで、未来や過去と口にしたところで嘘だと叩かれるだけですから」

まあ。確かにそうかもしれない。
こんなところに来なかったら、私は今でも未来や過去に行けるとか、存在するとか思わなかった。

過去は自分がたどってきた道。
未来はいずれやってくる現在。

論理的に考えてみて当たり前だ。

その法則を、私にとってこの先の人々は、破ったのだ。
どれほどタイムトラベルというものに夢を抱いて研究したのだろうか。

そう思うと諦めないという気持ちがあることに羨ましさを感じる。

私は冷静に考えて無理だと思ったり、そんなものはないと思うと、すぐに冷めてしまう。諦めてしまう。

だから夢を追い続けることなど、この先できる気がしない。
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