地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密
「まぁ、そんなところです。…ですが、その扉は未来からやってくる人々を迎える為に作られたものなのですよ」
「え。未来には行かないの?」
「未来に行くことは原則タブーとしています。
大昔、渡来人というものが倭国、つまり日本に技術を伝えに来たでしょう?
それと同様。未来から技術を教えに来る者も度々いるのです。
なので扉は作られましたが、未来に行き、知ることは現在に影響をもたらします。
そのため、未来に行くことは禁じられているのです」
はあ?
そんなの、未来人が伝えたって同じことなのに。
結局現在に何らかの影響がでるし。
それに、じゃあなんで今、〝過去の人〟である私がここに来ることを許されたの?
意味わかんない。疑問しかない。
「と言っても、パラレルワールドですので現在に影響したところで、他の未来も過去もさして変わりはないですが…。このルールを決めた過去の方に聞いてください。…あ、梨衣子さんにとっては未来の方にあたりますね」
いちいち、敬語でありながら敬いの心ない言葉を口にする彼の髪は、その深い海の色を輝かせながら風になびいて後ろに流れる。
これが作られた風、空気であることが少し気持ち悪かった。