地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密
「パラレルワールドって、私たちと同じ宇宙が他にも存在するとか、並行世界とか…。そんな感じよね?」
「はい。そのため、どの世界がどのように変わるかはそれぞれです。
今ここにいる梨衣子さんと僕が出会ったのは、4月30日、2時26分の梨衣子さん。
なので、その1分後や3分前にいる別の世界の梨衣子さんは、2時26分を過ぎたとしても変わらぬ一日を過ごしているのでしょう」
それを聞いた私は、すごいと思ってしまった。
1分後でも1分前でもダメ。
5秒前の自分でもダメだったんだ。
ここに来れた、選ばれた私。
でも、他の世界に〝私〟ってものが何人もいるかと思うと、変な気分だ。
「どうして私を連れてきたの?」
「……本来の目的については、後ほどお話致します。ですが、2時26分の梨衣子さんを選んだ理由を聞いていらっしゃるのなら、そのわけは特にございません」
「なっ!?」
なにそれ!?
人がわざわざ来てやったってのに!
しかも『行く』なんて一言も言ってないのに!
テキトーに選んだわけですか!!
あーあ、そうですか。
所詮、男なんてそんなものだよね。
わかってるよ、別に選ばれた資格があるって期待してたわけじゃないし。
「…あっそ」
ボソッと『早く元の世界に帰してよね』って言ったこと、聞こえるわけないか。
だって、帰りたいって自信を持って言えなかったんだもの。
帰ったって、別に同じか。なんて考えてしまった自分の心が、雪の欠片のようにひんやりとした。