地球滅亡後の世界で、君と出会った秘密
公園や街中へ行きたかったが、補導されるのは面倒なので、どうしようかと迷っていた。
人気のない古い住宅街をうろうろしていると、左手に急な石段が見えた。
「あぁ、懐かしい」
ひとりでにそう言いながら、石段を登った。
登った先にあるのは、石で出来た鳥居。
そして狭い土地の中心に小さな小さな祠がある。
神主さんは、いるのかいないのか、今まで見たことがない。
よくここで、かくれんぼしたなぁ、とそんなことを考えていると…。
『りぃ〜。どこにいるのかなぁ〜』
そんな声が聞こえてきたような気がして、私は咄嗟に耳を塞いだ。
しゃがんで。小さくなって。目もキュッと瞑る。
これでもか、というほど固く、小さくなった。
何も見たくない、聞きたくない。
カァカァカァ…とカラスが一羽、飛んでいく音がした。
一瞬のはずが、長く感じた。
ホッと胸をなで下ろし、耳から手を離す。
ゆっくりと立ち上がり、長いスカートについた汚れをはらった。
「やめてよ。昔のことなんて…」
そのまま私は祠の前に行き、柱にもたれかかるように座って、英単語のノートを開いた。