夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「アカリさえ手に入ればいい。
そっちの女は置いていけ」
私の首を締めながら命令する男。
どうやらこの中のリーダーのようだ。
リーダーが命ずると男達はモニカ様が騒がない様にさるぐつわを咬ませ、背中で両手を縛りその場に置いた。
怯えて震えるモニカ様は、腰を抜かしている様子でその場からなかなか動けずにいる。
が、ここはアルバート様の所有地。
私達がいない事が別荘内で騒ぎになれば、彼女はきっと見付けてもらえる。
そう思って、ホッとしたのも束の間。
「!ッ……ぅうっ!」
リーダーが片手で、私の喉元を掴んだまま持ち上げる。
自分の体重で首が更に締まって、上手く呼吸が出来ない。
っ……苦しいッ。
「……安心しな。
まだ、殺しはしないよ。お嬢様」
顔をしかめる私に囁くリーダー。
その直後。
側にいた男に、薬品を染み込ませた布で口元を覆われる。
すうっと、私を襲う眠気ーー。
その、薄れゆく意識の中で……。
私は見てしまったんだ。
リーダーの胸元に着いた、バッジ。
六角形で、表面に刻まれたチェスの駒のような一角獣《ユニコーン》。
それは、夢の配達人の……証だった。