夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
何が起きたの?
地面に倒されたまま、ゆっくりと顔を向けると……。
そこに、立って居たのはーー。
「ッ……」
闇夜に浮かぶ、白金色の光。
っ……バロンッ!
胸が締め付けられる。
待ち焦がれたその姿を見たら、ジワジワと涙が溢れてきた。
彼が来てくれた。
それだけで、全身に血が通ったように温かさと安心感が広がる。
”もう大丈夫だ”と、彼を見付けて弾んだ鼓動が教えてくれるの。
……けど。
ホッとする私の心境とは反対に、いつもより低いバロンの声が辺りの空気を裂いた。
「……。退け……」
今まで聞いた事もない、重い音。
「っ……退けッて言ってんだよッ!!」
思わずビクッと縮み上がってしまう程の声を上げて、バロンは私を押さえつけているリーダーとの距離を一気に縮めて回し蹴りを仕掛けた。