夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「!っ……ッと!」
リーダーはその攻撃を私から離れるようにして避けると、バッと受け身を取って少し離れた場所で立ち上がる。
「ふぅ~、危ない危ない。
ようやく出て来たか……。召使いさん」
バックステップで距離を取ったリーダーは、バロンを見ながらニヤニヤと相変わらずの表情で笑っていた。
まだまだ余裕のその様子に、危機感を持たなくてはいけない事は分かる。
……でも。
それよりも私の胸を騒つかせるのは、リーダーの方を向いて、守ってくれるように背を向けているバロン。
彼の、表情が私からは見えない。
静かなのに、ピリピリとした雰囲気。
嫌な、予感がした。
「んッ……!ん~っ!!」
地面に倒れたままの私は、必死に声を上げてバロンに呼び掛け、もがいた。
バロン!
こっちを見てっ……バロンッ!!
祈るような気持ちで訴え続けていると……。
それに気付いたバロンが私の方を向いて、片膝を着くと、俯いたままさるぐつわと手の縄を解いてくれた。