夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
でも、今のバロンは……。
「!ッ……ぐあッ!」
信じられない彼の姿に瞬きさえ出来ずにいた私を、リーダーの叫び声と、ドシャッ……!!っと響いた鈍い音がビクッと我に返らせてくれる。
激しい攻撃が続くうちに一瞬の隙を突いたバロンが、リーダーの後頭部を掴むと、自分の体重をかけて地面に叩きつけるように押し付けて倒した。
力で捩じ伏せる、荒々しい戦い方。
「……フッ、笑わせる。
これで、夢の配達人なんてな」
「ククッ」と冷たく笑って、肩を揺らすバロン。
うつ伏せに倒れていたリーダーをドカッ……!!と蹴飛ばして、強引に仰向けにさせた。
「っ……バロ、ン?」
やっとの思いで口から出た、震える声で彼を呼ぶ。
……けど。
一点に狙いを定めたバロンの瞳に、私が映る事はない。
乱れた長い前髪から覗く彼の鋭い瞳。
その瞳が、地面に倒れたリーダーを真っ直ぐに射抜く。
獲物を仕留める寸前の肉食動物のような、眼光。