夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「今の言葉、後悔するなよッ……!!」
「っ……バロンッ!!」
丸腰のバロンの方へナイフを片手に一直線に向かってくるリーダーを見て、私は咄嗟に声を上げた。
でも。
バロンは、その場を動かない。
ーー何故だろうね?
根拠なんてないけど、自分から動こうとしないバロンを見た時。
不思議と私の心も落ち着いて、冷静に、瞬きさえせず、見守れて……。
いや、私はすでに彼の勝利を確信していた。
ほんの、少し。
リーダーがバロンに向かってナイフを突き刺そうとした時だ。
彼はスッと少し身体をズラしてそれを交わして、リーダーとすれ違う形になった。
「っ……この!」
背後に移動したバロンをリーダーは振り返ってキッと睨むと、再び攻め込もうとナイフを構える。
けれど、この時すでに決着はついていた。