夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「これ、このまま売ると……。
レアコレクターに高く売れるんだっけ?」
「!っ……な、何バカ言ってんだ!返せっ!」
意地悪な笑いが含まれた言葉に、血相を変えてバッジを奪い返そうとするリーダー。
しかし、一歩踏み出した瞬間。
白金色の瞳から放たれる、殺気。
息が止まるようなバロンの眼光に射抜かれ、リーダーはまるで石になったように動かなくなった。
「……返せ?
あんた、なんか言葉間違えてない?」
「ッ……!」
口角は上がっているけど、バロンの瞳と声に含まれたとんでもない威圧感。
彼にジリッと詰め寄られ、リーダーは震え上がって後退りしながらナイフを地面に落とした。
「……まあ、僕は鬼じゃないしね。
返してあげる。……よッ!」
「!……あぁ~ッ!?」
その様子を見て、クルッと方向転換したバロン。
勢いをつけると、「よッ!」のタイミングで木の生い茂った茂みの方へ、リーダーさんのバッジを投げ捨てた。
静かな夜の森に響く、カサッという音。