夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

自分には絶対無理だ、とくるりと方向転換。
諦めて、その辺の木陰でバロンが降りてくるまで待つ事にした。

……が。
一度背を向けたものの、私はすぐに振り返り、ゴクリッと唾を飲み込んでハシゴを凝視する。


でも、行ってみたい気がする!
自分の足で、バロンに近付いてみたい!

私は「よしっ!」と気合いを入れて差し入れの入ったバスケットを片腕に掛けると、決意を固めた両手でしっかりハシゴの両端を握り、一段目に足をかけた。


……大丈夫。
ゆっくり行けば、大丈夫だよね?

深呼吸して、気持ちを落ち着けて、私はゆっくりと一段一段確かめるように登り始める。


一歩ずつ、一歩ずつ。
確かめるようにゆっくりと足を上げて、長い長い先のゴールを目指す。

もし上まで辿り着けたら、なんだかバロンに近付ける気がした。

まだ、知らない事だらけだし。
戸惑ってしまう事もたくさんある。


……けど、バロン。
私は貴方の事が知りたいの。

貴方の好きな物とか。
貴方が楽しいと思う事を共感したい。
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