夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
本当は顔を真っ直ぐ見つめて言いたかったのに、返事が怖くて、俯いたままの私。
自分のスカートをギュッと握り締めていると、私の耳に届くのは困惑したような声。
「……はい?
ちょ、ちょっと待てよ!
なんで、僕が避けてる側になってるのっ?」
両肩を掴まれて顔を上げると、バロンが少し首を傾げて、頭に?マークがいっぱいそうな表情をして見つめていた。
「目が合うと逸らしたり、避けてたのはアカリの方だろ?
だから、僕は……。てっきり怖いのかと、思って……」
「?……怖い?」
「この前の事件で、ちょっと荒々しい一面見せちゃったから……。
アカリが怖がるの、無理ないかなって……」
”怖い”の意味が分からなくて今度は私が首を傾げてキョトンとしていると、彼はそう言って気まずそうに目を逸らした。
寂しそうな、悲しそうな表情。
バロンは避けていたのではなく、私の為に距離を置いてくれていたのだと気付く。