夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……あ、そうだ!」

二口目の紅茶を飲み込んだ直後。
今の自分が持っている”父と繋がりのある品”の存在を思い出し、私はハッとしてティーカップを置くと机の引き出しから四角い小さな箱を取り出した。


「?……宝石箱、ですか?
へぇ~、綺麗な細工ですね」

「うん!お母さんの宝物。
お父さんに貰ったんだって、大切にしてた」

私達が視線を向ける机の上の宝石箱は、えんじ色のベースにいくつかの小さな白い真珠で装飾された、女の私の片手に乗るくらいの大きさ。

母親の生前は決して触らないようにしていた代物。
お母さんが亡くなった直後も、ずっとずっと蓋は開けずにいた宝石箱。

でも今、開けてみようって気になった。


何が入ってるんだろう?

ドキドキしながら蓋を開けるとーー。
どうやらこの宝石箱はオルゴールになっていたようで、何やら曲が流れ始めた。

……でも。
ちょっと壊れてるみたいで、変な音。
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