夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
!……あれ?
さっき何も入ってなかった、よね?
その音に疑問を感じた私は、もう一度宝石箱を机に置いて蓋を開けた。
再度確認し、「何もないよね?」と私が首を傾げると、横から伸びてきた長い人差し指が宝石箱のある部分を差す。
「……。
ここ、開くのではないですか?」
覗き込んだバロンが、宝石箱の中にある小さな仕掛けを見付けた。
指輪を挟んで収納する部分が、取れるように作られている。
「!……あ、本当だ。
ここも蓋になってたんだ!」
バロンと顔を見合わせて、また宝石箱に視線を戻してゴクッと唾を飲む。
震える指でパカッと小さな中蓋を開けると、そこにあったのは……。
何やら銀色に輝く、六角形の物。
ーーえっ?
……こ、これって……。
私には、その丸い物に見覚えがあった。
恐る恐る宝石箱の中から取り出して、私は掌にそれを乗せて確認した。