夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
(2)
「駄目です」
外出許可を求める為に、ローザの部屋を訪れた私。
しかし。
即答で、拒否された。
表情一つ変えずに駄目と言われた。
自分の父親の事が気になった私は、どうしても自ら調べたくて……。
どんな人だったのかもっと知りたくなって、外出したいとローザに頼んだ。
だが。
先日起こった事件の犯人も未だ分からず、解決していない今の状況でやはり外出許可は出してもらえない。
当たり前だと、分かっていてもあからさまにしゅんとしてしまう。
すると、そんな様子をみたローザは優しく諭すように問い掛けてきた。
「しかも、アカリ様?
アカリ様が行かれたいと申された場所、どれだけ距離があるかお分かりですか?」
「と、遠いのは……分かってます」
私が向かいたいと言った場所。
それは”夢の配達人”の隠れ家があると言われる、大きな港街。
この別荘がある所から、海を越えた先にある場所。
別荘近辺でも警戒されてるのに別の大陸に行くなんて、そりゃ許可なんてもらえないよね。