夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……さっ。
ちょっと窮屈でしょうが、どうぞ」

バロンは宿部屋のベッドを手際よく整えてくれて、いつもと変わらず私の世話を焼いてくれる。

でも、服装は白いシャツに黒いズボン。
髪型もいつも上げている前髪を下ろしていて、普段の召使い姿よりだいぶラフな感じだから、なんだか初めて会った時みたいで新鮮だ。


「平気!
むしろ、これくらいの広さの方が落ち着くわ〜」

いつもの自室は豪華過ぎるし広過ぎる。
元一般庶民の私には、すぐに歩き渡れるこの部屋の広さも、ジャンプすれば届きそうな天井の高さも、寝返りが一回しか打てないベッドの大きさもピッタリだった。

”お嬢様”から解放されたこの空間に表情を緩ませていると、バロンも「だね!」と微笑ってくれた。


「さて、明日は早いから少しでも休みな。
慣れない船旅はきっと疲れるし、眠れる時に眠っておいた方がいいよ」

「うんっ!そうしようかな~」

上機嫌の私は、バフンッとベッドに横になってバロンを見つめる。
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