夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
……
…………。
その時、ふと、気付いた。
私は気付いてしまった。
ベッドが一つしかない事にッ……!!
あからさまに動揺して、私はガバッとベッドから起き上がった。
てか、部屋に二人っきり?!
一晩中、バロンと一緒〜〜〜ッ?!
今更だが、色んな事に気付いてしまった。
そしたらもう。
抑えようと思えば思う程、顔は真っ赤になっていくばかり。
「……。アカリ、寝ないの?」
「えっ?ね、寝るよ!
……あ!いやっ、寝ないッ!!」
私、またあやしい事を言ってるっ……?!
質問にもまともに答えられず、頭の中はパニックだ。
すっかり”二人きり”という状況に焦る私。
「ははっ……!
そ、そんなに動揺しなくても良くないっ?」
一方のバロンは、ワタワタしている私を見てぶはっと吹き出して笑っていた。
だが、この後。
まさに神対応と言える彼の行動が、場の空気を変えてくれる。
何故か扉の方へ歩いて行くバロンを視線で追っていると、彼はそのまま扉を背もたれにするように床に座った。