夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「あと、はぐれないように気を付けてね?
ま、仮にはぐれても必ず見付けるけど」
「っ……う、うん!」
しっかりと繋がれた手、バロンの甘く優しい言葉。
これにはドキッとしない方がおかしい。
おかげでせっかく気を引き締めたのに、彼の言動にまたもや心と身体が緩んできてしまう。
いや、ある意味では緊張感が高まったと言うべきか。
「よしっ!
あ~、とりあえず腹減ったな~。まずは、何か食べに行こ~!」
バロンは元気よくそう言うと、照れてモジモジしている私の手を引いて歩き出した。
まずは人混みから私を護るようにこの街の中央部分である広場に行くと、案内板で何処に何があるのか確認し、再び歩き出す。
わっ……こ、これって、なんか恋人みたい!
デートって、こんな感じなのかな?
手を繋いで街中を散策というこの状況は、私からしたら立派なデートだった。
しかも、相手は大好きな人だもん。
チラッと横を見上げれば、整った綺麗な横顔にまたドキドキした。
いつも勉強を教えてもらう時に隣に居る彼を見上げるのとは、全然違う。