夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
この旅の間だけは、私はお嬢様じゃなくて”アカリ”。
彼は召使いではなく、1人の男性の”バロン”として過ごしたい。
そんな事を思い、一人で色々考えて真っ赤になっていると、バロンは色んなお店が並ぶ商店街に連れて来てくれた。
あちらこちらから揚げ物の香ばしい匂いや、焼きたてのパンみたいな甘い匂いが漂ってきて食欲をそそられる。
「ヤバい!
この列の食べ物、端から端まで食いたい!」
「えぇ~っ?!
それはさすがに無理じゃないッ……?!」
食べ歩き出来る店ー屋台ーの並びに、目を輝かせるバロンの発言。
彼が大食いだという事は知っていたが、さすがにこの発言には驚いてしまった。
だって屋台は長い商店街の道に沿って一定の距離を保ちながら連なっており、ざっと10店舗以上はある。
しかし。
絶対に全部なんて無理、という表情を浮かべる私を見てバロンはニッと楽しそうに笑った。