夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「潮風で髪の毛ベタベタでしょ?
先にお風呂入ってきていいよ」
「!っ……。
あ、う……うんっ!」
お風呂、という言葉に心臓がドキン!
「じゃ、じゃあっ……。
お先に、失礼します……っ」
ダ、ダメッ!
い、意識しちゃダメだ!
心の中で自分にそう言い聞かせるとなるべく平然を装って、私はタオルと着替えを手にお風呂場へ向かった。
「……はぁ~っ」
脱衣所の扉を閉めて一息。
自分でも分かるくらい熱くなった頬。
今の一瞬で、今日一番汗をかいた気がする。
そんな私とは対照的に、いつもと全く変わらないバロン。
自分だけこんなにドキドキしちゃって恥ずかしい。
一人きりの脱衣所の鏡で、私はじ~っと自分の姿を見つめた。
今まで男性と付き合う経験がなかったせいか、年齢の割に子供っぽく見える。
童顔だし、もしかしたら周りからはバロンと居ても妹くらいにしか思われいないのかも知れない。
……。
ダメだわ、落ち込む。
さっさとお風呂に入っちゃお。
私は気を取り直して、衣服を脱ぐとお風呂場に向かった。
……
………。