夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……。疲れてるんだね」

起こさないよう、そっとベッドの傍に行ってバロンの寝顔を見つめた。


可愛い寝顔。

寝顔はいつもより少し幼く見える。
それなのに鼻筋の通った、綺麗に整った顔立ち。
まつ毛も、目を閉じると余計に長く見えて、美人って言葉がぴったりだ。

きっと、一晩中見ていても飽きない。
初めて見る無防備な彼の姿に、触れたいと思う私はふしだらだろうか?


ちょ、ちょっとだけ。

彼の顔にかかった長い前髪を払うように、そっと顔に触れてみる。

すると、くすぐったかったのだろう。
仰向けに寝ていたバロンは寝返りを打ち、「んっ」と声を漏らして、顔をコテンッと私の方へ向けた。


う、うわぁ~っ!!

思わず心の中で叫び声を上げてしまった。
寝息が聞こえる程に、さっきより間近に見るバロンの寝顔。


ド、ドキドキし過ぎて鼻血出そう。
これ以上傍に居たら心臓が保たない!

そう判断した私はゆっくり離れようとした。
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