夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
(4)
バカ、だなぁ。
こんなに格好良くて素敵なバロン。
今まで恋人がいなかった訳がない。
私と違って、きっと恋愛経験だって豊富な筈だ。
そりゃ、私と同じ部屋でも平気だよね。
バロンにとって、私はきっと”女性”じゃないんだもん。
ねぇ、貴方はどんな女性が好きなの?
”リディア”って、どんな人?
言葉に出来ない問い掛けが、私の心の中で何度も響いて……。
響いた叫びが、私の目から涙になって溢れた。
痛い、苦しい。
私は泣き声が漏れないように、ベッドの上で布団に包まって……。
夜が明けるまで、泣いていた。
……
………。