夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……さて、まずはここ!」
その声に私はハッと顔を上げた。
俯いたままバロンに手を引かれて、辿り着いた場所ーー。
そこは、看板に「Bar」と書かれた酒場。
「!……ここって。
お酒飲む場所、だよね?」
「そ!ま、情報取集って言うとド定番の場所なんだけどさ。
昨日屋台の店員に色々聞いたら、やっぱり夢の配達人がよく出入りするみたいなんだよね」
看板を見て目をパチクリさせている私に、バロンはそう言って微笑む。
昨日の食べ歩きの最中に、すでに動いてくれてたんだ。
遊んでるように見えて、彼はいつもちゃんと優先順位を考えてる。
「アカリ、17歳だよね?
一応この街は16歳から飲酒OKだけど、キツいお酒が多い店みたいだから飲んじゃダメだよ?」
「だ、大丈夫よ!」
私も、ちゃんとしなきゃ!!
いつもならバロンの凄さを認め、素直に言う事を聞いていただろう。
でも。
この時の私はこれ以上子供扱いされたくなくて、彼よりも先に酒場の階段を降りて行った。
……
…………。