夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
隣の彼が、どんな表情をしているのかも知らずにーー。
「本当に好きなんだね、ヴァロンの事」
「うん!当たり前だよ、大好きっ……!!」
横から聞こえてきたバロンの言葉に、私は特に深い意味もなく笑顔で頷いた。
「……。
僕よりも、好き?」
「……。え……っ?」
静かな問い掛けに、一瞬時が止まった。
バロンの問い掛けに耳を疑いながら、私はボードから隣の彼に、視線を移した。
寂しそうな切ない白金色の瞳と、重なる。
……え?バロ、ン?
今、なんて………。なんて、言ったの?
「……。なんてね。
運が良ければ会えるんじゃない?」
私は、すぐに返事出来なかった。
すると真剣な眼差しで私を見ていた彼は、すぐにいつもみたいに微笑っていた。
「ちょっと洗面所行ってくる。
ここ、動いちゃ駄目だからね」
茫然としている私の頭を撫でて、バロンは背を向けると、静かに人混みの中に消えて行くーー。