夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「これを飲み干せたら、お嬢ちゃんの質問に何でも答えてやる」
「!……え?ほ、本当ですかっ?」
大男の言葉に、正直もっと変な要求されるのかと思っていた私はホッと胸を撫で下ろした。
しかし……。
「ちょっ、あのお酒はマズイでしょう!」
グラスに手を伸ばそうとした時。
カウンターの向こう側にいた店主が、大男を止めるように慌てた様子で言った。
一方の大男は、聞く耳を持たず私を笑ったまま見つめている。
困ったように、大男と私を交互に見る店主。
その雰囲気が、この小さなグラスに入った飲み物がただのお酒でない事を物語っていた。
「……どうした?
出来ないなら帰りな、お嬢ちゃん」
躊躇する私を見て、馬鹿にする口調。
この人は、私をからかってるのだ。
何も出来ない小娘だと、逃げ出すのを面白がってるのだと悟った。