夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
ーーけれど。
「やめろッ……!!」
私の耳に届く、大好きな声。
……あ~あ、もう。
やっぱり、貴方は来ちゃうんだね。
心の中でそう呟いたら、大好きな彼の大きな手が……。私の持っていたグラスを掴んで奪う。
いつも、私がピンチの時に来てくれる王子様。
夢の配達人に負けない。
それ以上に格好良い、私の大好きな人。
息を切らしながら駆け付けてくれたバロンは、グイッと私から奪ったお酒を一気に飲み干すと、空になったグラスをガンッ!とカウンターに置いた。
「何処に行ったと思ったら……。こんな所で何してるわけ?」
「……。
バロンの真似、しただけだよ?」
彼のムッとした口調に反省しながらも、助けに来てくれた事が嬉しくて、私は笑みをこぼしながらそう答えた。
すると、険しい表情のバロンはふ~っと溜め息を吐いて言葉を続ける。