夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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マスターさんとシュウさんは、その後もお父さんの事を色々話してくれた。
ここに来て良かった。
感無量で、私は心からそう思った。
「……さて。
話してやれるのは、これくらいかのぅ」
「充分です。
本当に、ありがとうございました!」
約1時間程。ずっと話してくれた二人に、私はソファーから立ち上がると感謝の気持ちを込めて深く頭を下げた。
すると。
私が顔を上げて目が合うと同時に、再びマスターさんが口を開く。
「……して。
アカリさん、あのお兄さんの事なんじゃが……」
「!……バロンの事、ですか?」
突然話題が変わった上に、予想外のバロンの事。
私は「なんだろう?」と、マスターさんを見つめた。
どこか真剣なマスターさんの眼差しに、何を言われるのか……。一瞬、緊張が走った。