夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「仕事も、何回か一緒に行ってましたよね?」
「ヴァロンは毎回、嫌そうな表情しとったがの」
そんな話を聞いて、何だか想像が出来る。
きっと、嫌な顔しながらもヴァロンはお父さんに付き合ってくれていたのだろう。
お父さん、しつこかったのかな?
その様子を思い浮かべて、私は思わず苦笑いした。
「……でも。
ヴァロンは本当に嫌いな相手とは仕事はせん。
その気になれば、あやつはいつでも姿を眩ませて相手を振り切れるしのぅ」
「つまり。
ギルさんの事、好きだったんですね」
二人は相思相愛だった、とでも言うかのようなシュウさんの口調。
おかしくて、でもやっぱり嬉しくて、笑った。
「まぁ、ヴァロンは……。
あやつは文句言っとっても、一度決めたら最後まで完璧に熟す超人じゃからなぁ」
「うちの一番の稼ぎ頭ですし。
多少の態度の悪さは、見逃すしかないんですよ」
そう困ったように微笑むマスターさんとシュウさん。