夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
(3)
……
…………。
……んっ、眩し……い。
窓のカーテンの隙間から射す、暖かい春の日差し。微かに聞こえる、朝を喜ぶ鳥の鳴き声。
私はボーッとベッドから上半身を起こした。
ここは、アルバート様の別荘の私の部屋。
目が覚めた直後に映る高い天井と、無駄に広い自分の部屋と、ふわふわのベッドには未だに慣れないが……。
なんだか今日は、久し振りに熟睡出来た気がする。
何故だろう?
布団とはまた違う、優しい温もりを感じていたような。いい夢でも見ていたような……。
ーーだが、思い出せない。
そんな、まだ半分寝ぼけていた私の耳に、部屋の扉の外から騒がしい声が聞こえてきた。
?……なに?
普段は寂しいくらいに静かなこの別荘の朝が、いつもと違う。
目を擦りながらベッドから起き上がると、部屋の扉まで行って外の廊下の様子を伺った。
「大変だッ!!
不審者が侵入したぞッ……!!」
「!っ……」
扉の向こうから聞こえたその言葉に、私はハッと辺りを見渡す。