夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「ヴァロンみたいに……。
格好良くアカリを助けられなかったね」
「……。バロン?」
どこか悲しそうな、悔しそうなバロンの横顔。
ズキッと……。
彼の言葉と表情に、胸が締め付けられた。
「きっとヴァロンなら、あんな馬鹿な勝負は受けずに……。
もっと効率よく情報を収集してたと思う」
「……っ」
自分の行動を悔やんで、自分と”ヴァロン”の違いを比べるバロン。
ーー確かに。
そう、かも知れない。
でも、私は嬉しかった。
貴方が来てくれて、嬉しかった。
助けに来てくれたのがバロンだから……。
私は嬉しかったんだよ?
『僕よりも、好き?』
あの時の問い掛けが再びよみがえってきて、私の心がドキドキと音を立てて騒ぎ出す。