夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「アカリは……。
本当にそれでいいの?」

モニカが、不満そうな口調で言った。

その時。
上手く答えられない私の足元に「みゃ~っ」と、白い猫が擦り寄ってくる。


「……リディア」

私は白猫を抱き上げて、胸に抱き締めた。

バロンが私の召使いの任を離れる時にくれた、白猫。
この別荘に迷い込んで来たリディアを、彼はずっと世話をしていたらしい。


私が寂しくないように。
自分の代わりに、傍に置いてほしいと渡された白猫。


「……。
傍にいたら、触れたくなるもの」

”リディア”がこの白猫の名前だと分かった時、どれだけホッとしたか……。
ヤキモチを妬く資格なんて自分にはないと分かりながら、どれだけモヤモヤしたか。


「……私は。
充分、我が儘を言ってるわ」

私は窓に近付くと、カーテンを少しズラして外を……。

ーーううん。
外で警備をしている、バロンを見つめた。
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