夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……おまけにね。
困った事に、全く気持ちが変わらないの」
傍にいる時間が少なくなれば、近くなくなれば、少しずつでも薄れていくと思った恋心。
けど、そんなに簡単に消せる気持ちじゃなかった。
「何かあるとすぐに、バロンの事思い出しちゃって……っ」
勉強をしていても、お稽古事をしていても……。
その全てに、バロンとの思い出が蘇ってくる。
「っ……ほんと、参ったなぁ……ッ」
「……」
リディアをギュッと抱きながら涙を流す私を、モニカは優しく包むように抱き締めてくれた。
モニカとリディア。
二人の温もりが、とても暖かくて…。
私はバロンと離れて以来、初めて泣いた。