夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
すっかり打ち解けて、ワイワイと盛り上がる中庭。
その時。
何かに気付いたモニカが、少し遠くに手を振って叫んだ。
「あ!バロン!お疲れ様~!」
響き渡る彼女の声に、私はハッとしてすぐさま俯く。
油断、していた。
どうして、気付かなかったんだろう?
少し考えれば分かる事だった。
ここは警備員達の休憩の場。
当然、バロンが居るって事。
心臓が痛いくらいに、ドキドキと音を立て始める。
「バロンもこっちに来て食べません?
私とアカリが作ったお菓子がありますのよ~!」
無邪気に彼を誘うモニカ。
顔が上げられなくて、バロンがこちらに来ているのかも分からない。
会いたいような、会いたくないような。
揺れる気持ちの、私。
けど、そんな私の気持ちなどお構いなしに状況は進む。