夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「このツリーは『参加出来ないお詫びです』って……。
全く、本当に良い男ですわね?バロンは」
「……っ。
うん、っ……そう、だね」
綺麗なツリーは、まるでバロン自身みたいで。
キラキラしてて、私の心に焼き付く。
見れば見るほど切なくなってきて。
涙が溢れてきて、装飾されたライトが滲んで、歪む。
「……アカリ、私ね。
生まれた時から結婚相手が決まっているの」
「!……え?」
ツリーから……。
いや、目の前の事からずっと目を逸らしている私の耳に、いつもとは違う真面目なモニカの声が聞こえた。
「年は貴女より下だけど、この世界に関しては私の方が長い。
だからこう見えても、たくさん覚悟をしているのよ?私」
私とモニカの瞳が、重なる。
彼女は私に、穏やかに微笑んだ。