夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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「っ……バローーーンッ!!」
雪が散らつく中庭。
建物の周りを巡回していたバロンの姿を見付けて、私は力一杯叫んだ。
何事かと思ったのだろう。
彼は驚いた表情で私の方を見たまま立ち止まっている。
良かった、立ち止まってくれた。
やっと顔が、見れたっ。
それだけで胸がいっぱいになって、ジワッと滲む涙。
私は目を擦りながら、バロンに駆け寄った。
「お、お仕事中にごめんね。
私どうしても、バロンに会いたく……」
「何してるんですかっ!
そんな服装で外に出て来て、風邪引くでしょうッ?!」
……忘れてた。
言葉を遮って怒る彼に、私は上着も羽織らず出て来てしまった事にようやく気付いた。
小さく「あ」と声を漏らすと、バロンは自分のコートを脱ぐいでフワッと私に羽織らせてくれる。