夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……ご、ごめんなさい」
謝りつつも、久々に構ってもらえて嬉しい。
羽織らせてもらったコートをギュッと握って、私は思わず微笑った。
すごく、あったかい。
さっきまで寒さなど感じなかったのに……。
あの平気だったのが嘘みたいに、もうこの温もりを離したくないと思った。
そう、離したくない。
……この、温もりを?
ーーううん!私は、バロンの事を……。
「パーティーは?
まだ終わってないんでしょう?
……。中へ戻りますよ」
「あ!ちょっ……。
ま、待って!待ってよっ……バロン!」
室内へ私を戻そうと、歩き出す彼。
私は慌てて紙袋からマフラーを取り出すと、よっと背伸びをして彼の首に掛けた。
「!……これ、どうしたんですか?」
「……作ったの。
バロン、いつも外回りばっかりしてるから」
サプライズ、成功かな?
立ち止まったバロンにマフラーを丁寧に巻きながら、その驚いた表情をじっと見つめる。