夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「ーーうん!似合ってる。
私の手作りってのはイマイチだけど……。バロンが格好良いから、良く見えるね!」
お世辞なんかじゃない。
本当にそう思った。
見れば見る程、胸が高鳴る。
でも、それは貴方が誰よりも優れた容姿だからじゃない。
貴方が誰よりも、私の大好きな人だからだ。
「あ、手袋もあるんだ。
嫌じゃなかったら……使って?」
差し出して受け取って貰えないのが怖くて、私は手袋をバロンの制服のポケットに突っ込んだ。
「……。
ありがとうございます」
微笑んで、お礼を言ってくれたバロン。
でも、以前とは少し違う距離感に、堪らなく寂しさが込み上げてくる。
「……コートのポケット」
「!……へ?」
「コートのポケット、探って下さい」
しゅんと俯きかけた私に、バロンは羽織らせてくれたコートを指差しながら言った。