夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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「今日は、使用人達とお菓子作りをしていたそうですね?」
その夜、就寝前の自室。
手際よく私のベッドメイキングをしているバロンに話し掛けられて、心臓がドキリッと跳ね上がる。
「あ、っ……うん」
チラッと彼の様子を伺いながら、実はずっとお菓子を渡せるタイミングを見計らっていた。
おやつの時間にサラッと渡せば良かったんだけど……。
一緒にお菓子作りをした使用人以外の子達の中には当然バロンのファンの女の子がいて、囲まれてるの見ちゃったんだよね。
やっぱり、モテるんだなぁ。
そう実感したら、何だか悔しいような複雑な気持ちになった。
なんか、ないのかしら?
こう、みんなが「え~!」ってなるような。
バロンの格好悪い一面とか……。
そんな事を思いながらバロンの背中をじ~っと見つめていると、彼が突然「ククッ」と笑った。