夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「ははっ!アカリ、見過ぎだから。
……何?僕に何か用があるわけ?」
私の方を振り返って、首を傾げるバロン。
その姿でさえ心を揺さぶられて、ドキッとしてしまう。
しかも、いきなり召使いモードから素に戻ってるし。
表情も仕草も、全てにキュンキュンさせられっぱなしだ。
「っ……お、お菓子!今日、何個もらったのよ?」
複雑な乙女心ゆえ。
つい、私の口から飛び出した可愛くない言葉。
ちが~う!?
そ、そんな事聞きたかった訳じゃない〜ッ!!
と、心の中で自分にツッコミを入れたが……。
言ってしまった事は取り消せず、気まずい沈黙が流れる。
するとその雰囲気を察したのか、リディアがバロンの足元に擦り寄って「みゃ~っ」と鳴くと、私とは正反対に可愛らしく甘え出した。