夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「リディア~。
アカリちゃん怖いね~?あれはね、嫉妬って言う……」
「っ……バ、バロンッ!」
リディアを抱き上げた彼は、まるで父親が赤ちゃんに言うような口調でクスクス笑いながら話し掛けていた。
嫉妬という図星の感情を読まれて、カアァ〜ッと真っ赤になると同時に、余計に素直になれなくなってしまう。
「も、もういいっ……!」
バロンにはあげない!
ケーキ、後で一人で食べてやるもんっ!
意地っ張りな私は、プイッと背を向けた。
すると、拗ねる私の背後から……。
「貰ってないよ。一個も」
と、言うバロンの声がした。
「……う、嘘!
だって、女の子にいっぱい囲まれてたじゃないっ」
「僕がアカリに嘘付くと思う?」
「ちゃんと見たんだからね!」と言おうとしたが、その言葉を遮った、彼の問い掛けにハッとする。
確かにバロンは、私の事をよくからかうけど……。嘘を付いた事は、一度もない。
冷静になってゆっくり振り返ると、優しく微笑む彼がすぐ近くに来ていた。