夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
そう思いながらも、きっと笑顔は引き攣ったものだったに違いない。
そんな私に、すうっと短く息を吸って心を決めたようなローザが、目を合わせて口を開いた。
「明後日、アルバート様がこの別荘に参られます。
アカリ様の花嫁修業の成果を見たい、と」
「……。え……?」
突然告げられる、私とバロンの終わりの時間。
その現実に、頭の中が真っ白になった。
「当初の予定では、アカリ様の18歳の誕生日までが花嫁修業期間。
しかし、お相手との交渉の結果。
誕生日当日に婚儀を行いたいそうです」
ローザの言葉が、すごく遠く、聞こえる。
覚悟していた筈だった。
いつか終わりがくると、分かっていた。
でもーー。
18歳の誕生日、って……。
もう、二週間位しかない。
なのに、未だ顔も知らない人と……。
私は結婚、するんだ。
実感が、湧かない。
……なのに。
この絶望感は、なんだろう?
ローザの説明に、私は何の言葉も返せなかった。