夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「アカリ様がいない場所に……。
私の居場所なんて、ないですよ。ローザ殿」
バロンは、ローザにハッキリと、そう答えていた。
私の居る場所が、自分の居場所だとでも言いたげなその言葉が嬉しいのに……。
素直に喜べない、この状況が、哀しい。
「……でも。
明後日まで、このままでいさせて下さい。
……お願いします!」
「……。
わかりました。
では、詳しい話はまた明日に……」
頭を下げるバロンにローザは頷きながらそう言と、私に一礼して、静かに部屋を出て行った。
扉が閉まる音が、今度はパタンッて小さく聞こえたのは、何故ーー?
「……アカリ。
身体冷えるから、もう寝なよ」
心配してそう声をかけてくれる彼の声も、小さい。
隣に居るのに、遠く感じるの。
「……。うん…。」
バロンを困らせちゃいけない。
そう思って、私は素直にベッドに向かおうとする。
……けど。
足が、その場から動かない。